title image

 高度な不整地のための新しい移動機構:
柔軟全周囲クローラ RT02 WORMY

 柔軟全周囲クローラ Rescue mobile Track 02 WORMY (FMT初号機)
参考文献:衣笠他, 柔軟全周囲クローラ(FMT),
日本ロボット学会誌, Vol.27, No.1, pp.107-114, 2009.
技術協力:遠隔操作システムTPIP ( サンリツオートメイション株式会社
機械部品製作:有限会社ナカタテクスタ



 WOMRYは,長さが約120cm,幅20cm,高さ20cmで,上下左右に湾曲することで向きを変えたり,障害物を乗り越えたりすることができる.重さは,搭載するものにもよるが15kg〜20kg.一般的な,ブルドーザなどのキャタピラは向きを変えるために左右2本必要となるので,長さと幅が極端に違うと,例えば,細長くなったりすると,摩擦の影響で向きを変えることができなくなってしまう.WORMYは湾曲して向きを変えるからこそ,このような細長い形をとることができる.このWORMYを使って,基本的な障害物上の走行性能を確認した.

43cm段差乗り越え試験

 段差は,例えば車輪を使う移動機構の場合,その車輪の半径程度の高さしか乗り越えることができない.WORMYは全体が湾曲することで,大きな車輪の一部分のようになることが可能で,このように全長の36%程度の段差も乗り越え可能である.
 また,溝などを乗り越える場合は全長が長ければ長いほどその性能が向上する.つまりWORMYは120cmの約半分の55cmの溝をまたぐことができる.

55cm溝乗り越え試験

さらに,WORMYはキャタピラで全体が覆われているので,側面以外全て駆動部となっている.そのため,とがったものや薄い板などが胴体に侵入することでスタックする(動けなくなる)ことを避けることができる.

薄板乗り越え試験

もちろん,小さいキャタピラをいくつかつないだりする機構でも,胴体をいろいろくねらせることでこういった障害物から抜け出すことは可能だが,あまりややこしいことをしなくても移動できるWORMYはちょっといいかもしれない.
 で,最後に,階段を昇らせてみた.

階段昇降試験

この階段は,最近のオフィスビルにある一般的なもので,傾斜約30度. いろいろメカ的な問題が残っているので,休み休みだが,なんとか上まで昇ることができている.